１-３月の冬期ドラマは、ロケで品川ワールドが全開しました。新春早々、スペシャルドラマで連発、続いて始まった連ドラでも、常連地を中心に毎週のように品川が登場。その特徴は「集中」でした。

2023年は「しな水」でスタート

ＳＰドラマでは、まず１月６日放送「やっぱそれ、よくないと思う。」（テレ朝系）で、恋愛ドラマの定番ロケ地にして、一部コミックでも聖地になっている「しながわ水族館」が登場しました。動画のアクセスアップを狙う男女３人は、街で見かけた、いかにももてなさそうな男子にドッキリで逆ナンを仕掛け、その反応を笑いものにしようと計画します。逆ナン役は上新井田（かみあらいだ）みどり（吉川愛さん）、ターゲットにされたのは石橋渉（岡山天音さん）。２人がデートしたのが、しながわ水族館でした。

みどりは、徐々に渉の人柄に惹かれ、こんなことはもう止めようと仲間２人に提案するのですが、２人はカメラを回し続けます。手っ取り早くアクセスを稼ごうとする彼ら。一方、渉も動画を作っていて、フィギュアをコツコツとコマ撮りしてアニメを１年に１本制作するペースでした。

このドラマは、気鋭のCMプランナーとCMディレクターが脚本や演出を担当。最後は、対照的な二つの動画が合体して胸キュン、ちょっと涙で締めくくる展開に。「しな水」を舞台にした名作が、また１本誕生したのでした。

大ヒット・バカリズムドラマの源泉地

翌１月７日に放送されたＳＰドラマは、バカリズム脚本作品「ノンレムの窓」第３弾（日テレ系）。今回は３部構成でしたが、その２話「代行社会」で東品川公園がロケ地となりました。ＳＦ的な設定で、何でも代行を依頼する社会が舞台。そこではプロポーズすらも代行業者、それを受ける側も代行業者にお願いするという有様。そんな代行業者のベテラン社員である山﨑真司（佐藤隆太さん）が、わが子を叱れないパパに代わって「お叱り代行」をする冒頭のシーンが、東品川公園のこの遊具のところでした。その後、公園前にある歩道橋を渡っていきます。

このドラマの約１週間後に同じ日テレ系でスタートしたのが、バカリズムワールドが冴えわたり、大ヒットとなった連ドラ「ブラッシュアップライフ」。こちらも品川区でのロケがありました。ノンレムの窓は、いわばその源泉ドラマともいうべき作品。実はしなロケ、その撮影に協力していて、最後のクレジットにはロゴも出ていたのです。プチ自慢。

・2023.3.2のコラム「５周目突入、どうなる、『ブラッシュアップライフ』」

集中するロケ地は前世紀から人気

この冬は、いくつかのロケ地に撮影が集中しました。例えば、お台場の潮風公園。２０２３．２．２８のコラム「『夕暮れに、手をつなぐ』のロケ地になった潮風公園は、あのアニメの聖地だった」のほか、「スタンドUPスタート」（フジテレビ系、水曜日２２時～）の７話では夜景が登場。また、「親友は悪友」（ＢＳテレ東、日曜日２３時３０分～）でも、ダイヤの指輪を惜しげもなくごみ箱に捨てるシーンがあった１話のほか、複数話でロケ地となりました。

桐畑地下道は、「女神の教室～リーガル青春白書～」（フジテレビ系、月曜日２１時～）の９話で、藍井仁先生（山田裕貴さん）が鶴見颯刑事（尾上松也さん）に襲われる現場に。また、「忍者に結婚は難しい」（フジテレビ系、木曜日２２時～）では、現代の甲賀忍者でもある草刈蛍（菜々緒さん）が、大勢の集団に追い詰められるものの、忍術を駆使して難を逃れるというコメディードラマらしいシーンがロケされました。

もちろん、大森ベルポートも「ワタシってサバサバしてるから」はじめ複数のドラマに登場しましたが、一番の驚きはNHK総合で再放送されている朝ドラ「ひらり」（1992〜93年）でした。相撲部屋を舞台にしたヒット作ですが、その５０話（２月２０日放送）に、なんと大森ベルポートが！ひらり（石田ひかりさん）のお姉さん、みのり（鍵本景子さん）が、思いを寄せる両国診療所医師の竜太（渡辺いっけいさん）と、仕掛けられたお見合いをするという場面でした。

大森ベルポート・アトリウムがホテルのラウンジに見立てられていましたが、オリジナルの放送は１９９２年１０月からの半年間なので、昭和が終わってわずか３年あまりの頃。今でも近未来的なイメージのあのアトリウムが、そんな時代からロケ地になっていたのですね。〝前世紀の大森ベルポート〟をドラマで目撃することができました。

品川区、４月からのドラマでもたくさん出てきそう。目が離せません。

品川ウォーキングライター・キタロー
台本業 （テレビ・ラジオ、映像、イベントほか台本ならなんでも）
ギャグ系を中心に雑誌ライター歴もそれなりに長い
得意技は「オタク search」

イラスト：Ｔ_T

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