「Get Ready!」の重要な川べりのシーンにも登場

「星降る夜に」に登場した天王洲のレストランにお邪魔した、しなロケ取材班。そこで目についた小型船が実は数々のドラマに登場していたと知り、引き続きお話を聞くことにしました。

一口に小型船と説明しましたが、ジール撮影事業部の齋藤貴之さんによると、このタイプの船は「運河船」と呼ぶのだとか。水上バスと比較すると、違いは一目瞭然。屋根がなく、船体も低いため、運河にかかる低い橋の下を通過しやすいそうです。また、水面に近い視点から撮る映像も面白いと、撮影関係者から人気を集める船です。床の鮮やかな色が見た目にもかわいく、近くで見ていてテンションが上がります。

運河船での撮影実績は「挙げるとキリがないほど」（齋藤さん）。最近の作品で紹介してもらるものはないかと質問したところ、教えてくれたのは「Get Ready!」（TBS系、2023年1月〜）でした。それは2月5日放送された第5話。藤原竜也さん扮する闇医者チームの一員・ジョーカーが妻夫木聡さん演じるエースと出会った直後のシーンです。エースの手を借りたいと願うジョーカーが川沿いの道を追いかけますが、その際に川の中から揺れるような視点でカメラが2人を追いかけます。不安に揺れるジョーカーの心理をよく表した映像です。その撮影で活躍したのが実はこの運河船なんです。実際に運河船にカメラを載せて乗り込み、遊歩道側にいる二人を撮影していたのです。

「品川区にゆかりが深い映画『シン・ゴジラ』のリサーチにも使われました。最近ではこの運河船の上からドローンを飛ばして撮影したいというリクエストもあります」（齋藤さん）

気づかないうちにさまざまなドラマに、この「運河船カメラ」が登場しているのかもしれません。

榮倉奈々と柄本佑の「運河船デート」にも登場

運河船が重要な鍵となるドラマもありました。現在アマゾンプライムビデオで配信中の「モダンラブ・東京～さまざまな愛の形～」はオムニバス形式のドラマ。その2話目となる「私が既婚者と寝て学んだこと」は、東京の川と橋、そして運河船をめぐる恋の物語です。

離婚したものの良好な関係の加奈（榮倉奈々さん）と圭介（柄本佑さん）。ふたりは日本橋で待ち合わせて水上クルーズに乗り込みます。この撮影で使われているのが、ジールの運河船です。水上バスに乗るのが好きだった元夫婦。圭介が「船から見ると違う東京が見える」と言った通り、運河船の低い位置から眺める東京の川や橋は実にユニークです。想いを残した元夫を見つめる加奈の視点も相まって、「私も乗ってみたい！」という気持ちが高まります。

でもドラマの撮影用の船だし、実際に乗るなんて無理でしょ……なんて思っていたところ、齋藤さんからある情報が。なんと3月18日（土）～4月9日（日）の期間限定で、この運河船を使った「お花見クルーズ」をジールが運航しているのです！ 天王洲の新東海橋前の桟橋をスタートし、荏原神社から大崎、五反田と品川区内を通り抜け、ホテル雅叙園東京前で折り返す、およそ70分のコースです。

「目黒川の桜は下に向かって垂れ下がっているので、ちょうど運河船の目線にあたります。橋の上から見るよりきれいですよ」（齋藤さん）。日にちや天候によっては欠航・満席ということもあるので、気になる方は直接問い合わせてみてください。

「大好評！目黒川お花見クルーズ2023」。1人から乗船可能な乗合形式で、最大44人まで乗れます。 詳しくは下記のリンクからご確認ください。

→大好評！目黒川お花見クルーズ2023

セクゾファンの「貸し切り聖地巡り」にも活躍！

では、お花見の時期以外には乗れないの？ そんなことはないんです。なんとこちらの運河船は貸切の運航に対応しています。最近あった依頼はジャニーズの人気ユニット「Sexy Zone」、通称セクゾのファンのオフ会。Sexy Zoneがリリースしたアルバムの特典の中に、メンバーが船に乗って日本橋川にかかる日本橋の麒麟像の下で撮影した写真があるそう。それを知ったファンが集まって運河船を貸し切り、同じルートを航行したいというリクエストがあったそうです。メンバーと同じ角度から撮影できるのは、船に乗った人ならではの特典かも。

ドラマで見るもよし、自分で乗るもよし。東京らしさの詰まった運河船を楽しんではいかがでしょうか。

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ライターK
女性誌やウェブで飲食店、話題のスポットを取材するライター。 会社員時代の職場が品川区にあり、品川に対する土地勘と思い入れがある。

イラスト：Ｔ_T

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