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2022:12:14:11:21:38

「孤独のグルメ」で人気のパエリアは品川区・旗の台の人気店

2022.12.14

COLUMN

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「五郎さんメニュー」目当てに全国から予約殺到

2022年に放送10周年を迎えた人気ドラマシリーズ「孤独のグルメ」(テレビ東京系)。22年10月にスタートしたSeason10も大好評ですが、放送を記念して「過去に登場した品川区の飲食店」を紹介します。

2017年4月から放送された「孤独のグルメ Season6」の9話の舞台は、品川区旗の台。旗の台商店街を歩いていた井之頭五郎(松重豊さん)は、喫茶店、仕事の訪問先の銭湯に立ち寄ったあと、空腹に気づいて街をさまよいます。そこで大通りで見つけたスペインの国旗に惹かれて入店するのですが……。五郎さんが選んだ「スペイン食堂 石井」(東京都品川区旗の台2-1-31 岩瀬荘1F)に、しなロケ取材班も向かいました。

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スペイン食堂 石井があるのは、東急大井町線・旗の台駅から4分ほど歩いた中原街道沿い。昭和大学病院のちょうど向かい側です。お店の前には鮮やかなスペインの国旗が飾られていて人目を引きます。店内は淡い黄色を基調とした温かみのある印象。入ってすぐの場所に、五郎が座った席がありました。

五郎(松重さん)が座った席

五郎がメニューを確認した際の黒板も、ドラマ当時のまま。定番や季節のメニューが豊富で何を選んでいいのか迷いますが、やはりここは五郎が頼んだメニューを食べてみたいところ。オーナーシェフの石井浩さんに相談すると、「番組を見て訪ねてくる人に向けて、『孤独のグルメメニュー』をまとめてある」とのこと。放送終了後から今もドラマを見てやってくる人が絶えず、夜の営業はほぼ予約で満席。「先日も、福岡から出張でやってきたというお客さんがいました」と石井さん。狙い目はランチタイムで、この時間にも孤独のグルメメニューを提供しているそうです。

パンチがあるのに後味さわやか!「マッシュルームの鉄板焼き」

まずは、五郎さんがメニュー名に惹かれて注文した「長谷川さんこだわりのマッシュルームの鉄板焼き」から。マッシュルームの傘の裏側にチョリソーとニンニクを詰めて鉄板で加熱したもので、静岡県富士市の「長谷川農産」で生産された高品質のマッシュルームを使用しているのだとか。運ばれてきた熱々のマッシュルームからは、ニンニクの良い香り。さぞパンチが効いていると思いきや、頬張るとさわやかな酸味が広がります。これは仕上げにかけたレモンによるもの。コクがあるのにさっぱりしていて、いくらでも食べられそう。

「サルスエラ」も、五郎さんが耳慣れない名前に興味を抱いたメニューです。その正体はスペイン風のブイヤベース。エビやカニがゴロゴロと入った目にも美しい料理ですが、このお店ならではの特徴はスペイン産のパプリカパウダーを使用しているところ。「パプリカを燻製して旨味を出している」(石井さん)ので、だしのような芳香が漂います。このボリューム、味わいで1100円とは驚きです。「本来は冬のメニュー。でもドラマを見てきてくれる人のために、通年メニューにしています」と石井さんは笑顔で話します。

「長谷川さんこだわりのマッシュルームの鉄板焼き ハーフサイズ」(税込600円)
「サルスエラ(ブイヤベース) ハーフサイズ」(税込1100円)
「カキとチョリソーのアヒージョ」(税込1300円)は冬季限定。ドラマには登場しなかった、しなロケ独自のおすすめメニューです。プリプリのカキはもちろん、カキとチョリソーのエキスが染みたソースに自家製パンをつけて食べれば、身も心も温まります

大人気の「一人前パエリア」は孤独のグルメのロケから生まれた⁉️

かつてホテルのフレンチレストランや都内のスペインレストランで働いていた石井さんが、この店をオープンしたのは38歳のとき。ビストロを営んでいた先輩が店を移転するのに伴い、空いた場所で何か飲食店をやらないかと持ちかけられたそうです。スペイン料理をやろうと決めたものの、「スペイン料理にありがちなラテン語の店名ではなく、旗の台というエリアになじみやすい名前にしたい」と考え、「食堂」と名づけました。2007年のオープン以来、地域の人を中心に愛されてきたお店が、なぜ孤独のグルメに登場することになったのでしょうか。

「撮影の打診がある少し前、短期間で二度三度と来店するお客さんがいて、気になっていました。思い切って声をかけたら、『孤独のグルメというドラマのロケハンをしています』と打ち明けられました。でも、当時私はドラマのことを知らなくて(笑)。周囲に相談したところ、絶対引き受けたほうがいい! と強く勧められたんです」

撮影が正式に決定してからは、監督と脚本家が何度も来店して食事をし、ドラマに登場させるメニューを選びました。その際に製作陣から石井さんが依頼されたのは「料理を一切、ドラマ用に盛らないこと」。スペイン食堂 石井でふだん出しているメニューをありのまま放送したいという製作陣の思いを汲んだ結果、お店を訪れた人がいつでも五郎さんと同じ味を楽しめるというわけです。

ただし、ドラマをきっかけに新たに生まれたメニューも。それが、五郎さんも感激していた「イカ墨のパエリア」。1人用のかわいらしいパエリア鍋に入ったパエリアは、もとは常連客向けの「隠れメニュー」でした。

「監督に『ドラマに登場したら一気にオーダーが増えますよ? 大丈夫ですか?』と何度も確認されましたが、実際その通りになりました。小さいパエリア鍋はあまり数を持っていなかったので、撮影を前に買い足しましたが、今も大活躍しています」

「イカ墨のパエリア(1人前)」(税込1900円)。魚介の旨味がぎっしり詰まったパエリアに、ニンニク、たまご、オイルを使ったアリオリソースが深みを与えます

松重さんもプライベートで来店

撮影が行われたのは2017年のゴールデンウィーク。貸切の店内で早朝6時から18時まで、実に12時間の長丁場だったそう。料理を担当したのはもちろん石井さんですが、「ドラマには映り込めないので、作ってはキッチンの隅にしゃがんで隠れていました」と秘話を明かします。

いつもおいしそうに出された料理を平らげる五郎ですが、演じる松重さんはどんな様子だったのでしょうか?

「全部で7品提供したのですが、どれもおいしいおいしいと言って食べてくれました。実は撮影が終わった後、ドラマが放送する直前にプライベートで来店してくれたんですよ。『マッシュルームの鉄板焼きを食べさせたい』と、ご家族を連れてきてくれました。あれはうれしかったですね」

店主の石井浩さん

「五郎さん」をうならせた本格的なスペイン料理。ぜひお腹を空かせて訪れてみてはいかがでしょうか。

ライターK
女性誌やウェブで飲食店、話題のスポットを取材するライター。 会社員時代の職場が品川区にあり、品川に対する土地勘と思い入れがある。

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