正統派恋愛ドラマの幕開けは、品川区のあの場所から

弁護士、刑事など、職業モノドラマでにぎわった22年夏。そんな中、正統派の恋愛青春ドラマとして評価されていたのが、『消しゴムをくれた女子を好きになった。』（日本テレビ、22年７月〜）です。なにわ男子の大橋和也さん単独初主演として注目を浴びていましたが、放送が始まると実話をもとにしたストーリーの巧みさや映像表現の美しさ、そして何より13年片思いを続ける主人公のピュアさに「笑って泣ける」「青春時代を思い出して切なくなった」とコメントする人が続出。深夜時間帯のドラマながら、回を重ねるごとに「消し好き」ファンが増えているようです。

そんな「消し好き」の第1話、それも冒頭に、なんと品川区が登場していたのです。

該当シーンは第1話が始まってすぐ。大橋さん演じる主人公の福田悠が夜の街を息を切らしながら走り、タクシーに乗り込もうとした黄色いワンピースの女性に追いつく場面です。福田の呼びかけも虚しく、「じゃあね」と告げて立ち去る女性。のちにこれが福地桃子さん演じる片思いの女性・さとみであることが分かるのですが……。恋人どうしが別れてしまったのか、それとも単に思いが届かなかったのか？ まだドラマが始まったばかりで何も知らない視聴者が、ついついこの先の展開に引き込まれてしまうようなシーンでした。

福田がさとみに追いついた路上は、京急線北品川駅から徒歩5分程度の場所。

さとみらしき女性がタクシーを停めたのは、その路上と交差する、八ツ山通りという品川駅南側から北品川橋までを結ぶ二車線の通りでした。

ドラマには映りませんでしたが、二人が立っていた場所のすぐ脇には運河があります。川沿いで空が開けている一方で、背景には高層ビルも映り込むという不思議な場所です。運河にかかる北品川橋には釣り船が係留されていて、趣のある場所。聖地巡りの際は、この橋の上からの眺めもどうぞご確認ください。

都心にあって道が広く、しかも静か。下町と都会が入り混じった東京らしい風景が撮影できるとあって、ロケも多いのが北品川エリアの特徴。ここから八ツ山通りを新馬場駅方面に向かって10分ほど歩いた場所にある鎮守橋では、菅田将暉さん主演の『コントが始まる』、その並びの品川橋では木村佳乃さん主演の『恋する母たち』が撮影されていました。涼しいこの季節、橋とロケ地巡りを企画しても楽しいかもしれません。

ジャニーズと北品川といえば、あのカフェ！

ところで、ジャニーズ事務所と北品川と聞いて、あのドラマを思い出した人もいたのではないでしょうか？ そう、21年夏に放送された、Hey! Say! JUMPの伊野尾慧さんとKing & Princeの神宮寺勇太さん主演の『准教授・高槻彰良の推察』（21年8月〜、フジテレビ系）です。

ドラマの中で、民俗学の本が豊富な古書店「佐々倉古書店」として使用されたのは北品川に実在するカフェ「KAIDO books &coffee」。八ツ山通りに並行する旧東海道の商店街にあります。しなロケでも以前紹介したこのカフェは福田がさとみを見送った場所から、わずか徒歩5分。もしかして、福田とさとみもこのカフェに行ったことがあるのでは…？という妄想が膨らみます。

ジャニーズと縁があると言っても過言ではない北品川。涼しくなったこの時期に、ぶらぶらお散歩してみてはいかがでしょうか。

ライターK
女性誌やウェブで飲食店、話題のスポットを取材するライター。 会社員時代の職場が品川区にあり、品川に対する土地勘と思い入れがある。

イラスト：T_T

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