お仕事ドラマが多い今クールの中で、異彩を放っていたのが「こっち向いてよ向井くん」（日本テレビ系、2023年7月〜）。人気急上昇中の赤楚衛二さん主演の純度100％の恋愛ドラマと思いきや、「向井くん、その恋愛大丈夫？」とつい視聴者がつっこみたくなるようなシチュエーションや「女性陣のセリフが正論すぎてグサグサくる」と、思わぬ反響を呼びました。

主人公の「向井くん」こと向井悟（赤楚衛二さん）は、10年前に別れた彼女のことをいまだに引きずっている33歳、実家暮らしの会社員。同居する義理の弟が経営するバーで、常連客の坂井戸洸稀（波留さん）と知り合います。10年ぶりの恋愛のチャンスに浮き足立つ向井くんの報告に、「それって勘違いじゃない？」と容赦ない洸稀。向井くんの恋愛相手としてさまざまなゲストが登場しますが、視聴者の楽しみはなんといっても素の向井くんと洸稀との軽快なやりとりでしょう。

控えめな山本橋の夜景と、気になる洸稀の恋の行方

向井くんの恋愛に口出しする一方で、自分は自分で「おいしいとこどりの恋愛がしたいだけ」と公言する洸稀。どうやら職場の同僚である環田（市原隼人さん）に憧れを抱いているよう。視聴者が洸稀の恋愛にも興味津々の中、ついに3話で急展開！ 環田の部屋を訪れた洸稀が、恋愛の余韻に浸りながら向井くんにメッセージを送ります。別々の場所ながら、ともに夜の川沿いにいた2人はメッセージのやり取りを……と、向井くんの立っているこの橋、「シッコウ!!～犬と私と執行官～」のコラムに登場した、山本橋では⁉︎

放送を見返すと、アーチ状にふくらんだ欄干部分にもたれかかる向井くんの姿がしっかり映っていました。JRの線路を渡る車両もバッチリ。「シッコウ!!」コラム執筆にあたって山本橋を訪れたのは昼でしたが、イルミネーションで飾られていない時期の、控えめな山本橋の夜景も美しいものでした。

4話、そして8話にも山本橋は登場します。こじれつつある洸稀と環田の恋愛。環田の思いを知った向井くんが夜道で洸稀に電話します。その場所が、山本橋なのです。8話のシーンでは3話とは違う角度で、道路に面した手すりにもたれる向井くん越しに、特徴的なアーチ状の欄干が映っています。3話で大崎方面（左）から登場した電車は、今回は五反田方面（右）から。ドラマの設定では向井くんは鷺ノ宮駅に住んでいるということになっていましたが、今から山手線に乗って新宿方面に帰るのでしょうか。

大森ベルポートで芽生えた“三角関係”⁉︎

ところで、向井くんの勤務先であるTシャツメーカーと洸稀の勤務先であるアパレルメーカーは、ともに恵比寿にあるという設定です。ドラマの中では実際に恵比寿の街並みも登場しています。では、二人がそれぞれ勤務しているビルも恵比寿で撮影しているのでしょうか。実は、数々のドラマに登場している、大森ベルポートで撮影されていたのです。

ベルポートが登場したのは6話。ドラマ内ではどちらのオフィスとも明言されていませんが、お昼時にアトリウム1階を歩いていた洸稀をエスカレーターで2階から降りてきた向井くんが偶然発見。声をかけるというシーンです。自分の恋愛話を洸稀に聞いてもらいたかった向井くんは、そのまま彼女をお茶に誘います。ドリンク片手にアトリウムの植え込みの前にすわり、話し込む二人。それぞれがアイスコーヒー、カフェラテを買ったという設定のお店として、大森ベルポートの1階に入店しているカフェが映り込んでいます。ドラマの気分に浸りたい人は、ここでテイクアウトしてベンチでお茶するのも楽しいかもしれません。

楽しい時間を過ごす向井くんと洸稀。そんな二人に気がついて近づいてくる人物の姿が。洸稀の恋のお相手、環田です。今は洸稀の同僚である彼の前職は向井くんの会社、それも向井くんの憧れの先輩だったことがここで判明します。

再会を懐かしむ男性陣に動揺する洸稀。そんな彼女の様子とともに、何度かカットが切り替わり、アトリウムの特徴でもある吹き抜けやガラス張りの外壁もしっかり映っています。大森ベルポートを訪れたことがない人でも「あれ、ここってもしかして、いつもドラマに出てくる場所？」ときっと気づくはず。3人のやりとり、そして“余裕あるバツイチ”だったはずの環田の意外な行動。「こっち向いてよ向井くん」は現在Netflixでも配信されているため、ぜひご確認ください。

ライターK
女性誌やウェブで飲食店、話題のスポットを取材するライター。 会社員時代の職場が品川区にあり、品川に対する土地勘と思い入れがある。

イラスト：Ｔ_T

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