登場人物の気持ちになって喜んだり悩んだりと、たった30分なのに世界観に引き込まれるようなドラマに出会えると幸せな気持ちになります。「初恋、ざらり」(テレビ東京系、2023年7月〜)はまさにそんな作品。深夜0時12分という放送時間帯ながら、「良作」「ぜひ見てほしい」とSNSでつぶやく人が絶えず、オリコン最新ドラマ満足度調査(7月18日~24日放送が対象)ではゴールデン、プライムタイムのドラマに並んで5位に輝きました。
主人公・有紗は軽度の知的障害と自閉症を抱え、自分に自信が持てない25歳の女性。そんな有紗が職場で知り合った35歳の岡村さんと恋に落ちて……というストーリー。原作がSNSに連載形式で発表されると、重いテーマながらもピュアな二人の恋愛に心を奪われたという感想で溢れました。ドラマでは有紗役を期待の若手女優・小野花梨さんが、そして恋に不器用な「普通のおじさん」を風間俊介さんが演じています。
職場で優しくされたことをきっかけに一瞬で岡村さんを好きになってしまった有紗と、突然の恋に戸惑いつつも一生懸命な有紗に惹かれていく岡村さん。「なんとなく付き合っている?」という状況の二人が、たまたま職場である運送会社のシフト休みが重なったことで、初めてデートすることに。ドラマの第3話でその記念すべき場所として選ばれたのが、しながわ水族館でした。
30分のドラマの3分の1が「しな水」ロケ!
第3話のサブタイトルは「両想い!初めての水族館デート」。これだけでしながわ水族館のシーンがこの回のメインであることが予想できます。次回予告を見て、前週からしながわ水族館の登場を楽しみにしていた筆者ですが、「デート風景として、2シーン、5分くらい出てくるかな? 30分のドラマだからもっと短いかも」とも思っていました。ところが実際に放送を見ると、ほぼ3分の1がしな水で撮影されたシーンだったのです。
しな水へ向かう道を歩きながら「男の人と水族館に来るのは初めて」とうれしそうな有紗。ところが、券売所で「身障者手帳をお持ちの方」という文字を発見し、固まってしまいます。呆然とする有紗の気持ちを理解できない岡村。有紗もなんとか気を取り直して中に入ります。
二人はまず、熱帯魚の水槽を見学。有紗が目を留めたのは鮮やかな黄色の「コンゴウフグ」でした。ここは地下1階の「海の宝石箱」前と思われます。その後、二人は鏡張りの階段を降りていきます。「(自分たちが)いっぱいいる!」と鏡に映った姿を見てはしゃぐ有紗と岡村ですが、この階段は1階と地下1階をつなぐもの。二人は先ほどまで地下1階にいたはずなのですが、もしかしたら一度1階フロアを見学しに行っていたのかも……。
さて、階段を降りた二人が向かったのは、地下1階のクラゲの水槽の前でした。言葉も交わさず、クラゲの動きに見入る二人。そこに岡村の「何……考えてるんだろう」というモノローグが重なります。実は岡村は、自分といる時にも時々寂しそうな表情を見せる有紗のことが気に掛かっていたのでした。有紗の心に影を落としているのは、自分の障害を岡村に隠しているという後ろめたさ。でも岡村は「本当は自分と別れたがっているのではないか」と不安だったのです。フワフワと優雅に浮遊するクラゲの生態を不思議に感じながらも惹かれる人はきっと多いはず。そんなクラゲの様子に有紗の不安定さ、そして岡村の不安を表現した、実に繊細な演出だと感じました。
「トンネル水槽」で確かめ合う、お互いの気持ち
繊細なシーンからうってかわり、ローリングするアザラシを追いかける有紗の姿。二人はしな水名物「トンネル水槽」にやってきました。ここでは全長22mの長いガラスのトンネルをくぐりながら、約60種、300もの魚たちが天井いっぱい泳ぎ回る様子が見物できます。泳ぐ魚を下から見上げることができて、週末には魚を追いかけて走り回る子どもの姿をよく見かける、人気のエリアです。
幻想的なトンネルの中で時を過ごしながら、二人はまたお互いの気持ちを不安に思います。「岡村さんの隣にいたいけれど、こんな私なんかじゃ……」「やっぱり俺なんかじゃ……」。LEDライトに照らされる有紗と岡村の表情の揺らぎに目を奪われます。実は1話から、有紗が自信を失くして沈む瞬間にゴボゴボという水中で呼吸するような音のBGMが使われていたのが印象に残っていました。登場人物の気持ちを音、そして光の演出で見事に表しているこのドラマを、ぜひ放送終了まで見届けたいと思いました。
話は水族館のシーンに戻ります。このまますれ違ってしまうのかと思われたこの直後、有紗の意外な一言で状況が一変します。たくさんの魚たち、そして光に見守られながら、幸せを噛み締める有紗と岡村の姿。見逃し配信などもありますので、ぜひその目でご覧ください。きっと今週末はしながわ水族館に行きたくなるはずです。
写真提供:しながわ水族館
ライターK
女性誌やウェブで飲食店、話題のスポットを取材するライター。 会社員時代の職場が品川区にあり、品川に対する土地勘と思い入れがある。
イラスト:T_T
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