Netflixで２月１５日から配信が始まったドラマ「忍びの家 House of Ninjas」が、世界中で大ヒットしています。2/12-18の週間グローバルTOP10（非英語テレビ部門）で、週半ばの配信開始にもかかわらずいきなり2位登場。2/19-25の週では1位となる大快挙を果たしました。

このドラマは現代が舞台の忍者もの。松平（徳川）家に仕えた服部半蔵の末裔と、北条に仕えた風魔小太郎の十九代目が闘うというアクション劇。主演で共同エグゼクティブ・プロデューサーも務める賀来賢人さんがNetflixに企画を持ち込み、５年越しで配信となった作品ですが、そこに、なんと品川区が登場。しかも、第３話のクレジットにはロケーション協力で「しなロケ」の文字も！

今、世界中の人々に品川区が見られています。今回は緊急コラムで、このドラマに注目します。

甦る、服部Vs.風魔の闘い

賀来賢人さん演じる俵晴（たわら・はる）は、自販機に商品補充する仕事をし、終わると牛丼店に行くことだけが楽しみ。そんな彼の正体は〝忍び（忍者）〟。父も母も祖母も妹も、みんな忍び。本当の苗字は俵ではなく服部で、あの半蔵の血を引いている。しかし、6年前に風魔党との対決で長男の岳（高良健吾さん）を失った父の壮一（江口洋介さん）は、忍びを引退。〝術〟を封印して暮らしていました。

壮一は、表向きの職業である「俵酒造」の経営に専念するも、万年赤字。晴は継ぐことを拒否。しかし、仕事で何メートルも離れた位置から、狭い自販機の補充口に缶飲料を次々に投げ入れていくなど、つい術を使ってしまう。その妹で大学生の凪（蒔田彩珠さん）も、防犯設備をかいくぐって文化財を盗み、予告の上で戻すというスリルを味わって術を磨く。壮一の妻・陽子（木村多江さん）に至っては、術を手品のように駆使して万引きを楽しむ毎日。ところが、ついに捕まってしまいます。

「品川」が文字でも世界デビュー！

陽子は文化庁忍者管理局（BNM）から術を無断で使った罪に問われ、一家は忍びの仕事に戻らざるを得なくなりました。風魔党が国家転覆を謀って動き始めたため、BNMが彼らに助けを求めたのです。狙うは新興宗教「元天会」。その教祖こそが、十九代風魔小太郎だったのです。

晴は、牛丼店で知り合った雑誌記者・伊藤可憐（吉岡里帆さん）と潜入捜査を開始。元天会の幹部で、風魔党の殺人マシーンでもある澤部治（木幡竜さん）の存在を知ります。彼が殺人をする現場も２人で目撃。そして、第３話・・・

ドラマの舞台は北条の拠点だった小田原市。城下町の雰囲気がある橋を駆け抜ける小学生。手にはスマホ。橋詰にある交番へと行き、警察官に拾ったと渡します。褒められた小学生が去ると、そのスマホに通話アプリで連絡が入り、先日の殺人現場の動画が。色を失う警察官の澤部。晴は電話を入れ、澤部を脅して教祖の辻岡陽介＝風魔小太郎に引き合わせるよう要求したのでした。その風魔小太郎を演じるのは、昨年の大河ドラマ「どうする家康」で二代目の服部半蔵役をこなした山田孝之さん。これは偶然か、意図的か!?

それはさておき、このシーンに出てきた橋と交番は、品川区にある旧東海道品川橋と南品川櫻河岸まちなか観光案内所（旧交番）です。小学生が駆け抜けたカットでは、バックに朱色の鎮守橋があり、大都会でロケしているとは思えない情緒がありました。晴と可憐は、上記写真のベンチ近くに立って澤部に電話。ロケの時、ここに賀来賢人さんと吉岡里帆さんが居たなんて。目撃したかった～！

一方、旧交番は、１９２９年頃に建てられ、昨年、国の登録有形文化財に。アール・デコ意匠が人気の名所でもあります。画面をじっくり見ると、入口横の看板には「樺丘交番」、左の街路灯には「品川樺丘通り」と書かれていました。監督は「品川」の名を残してくれていたのですね。

なお、２０２２年には改修が施され、気軽に利用できる観光案内所となっています。旧東海道を歩く時は、ぜひご利用を。

まだまだ続くぞ、この痛快！

忍者アクションでは、宙返りして頭上を飛び越える、煙幕で逃げる、とかを連想しがち。でも、デイヴ・ボイル監督の演出にはそういうのがほとんどなく、素手や刀剣類での接近戦で格闘技っぽく闘い、とてもスタイリッシュ。えっ！と思う展開が計画的な芝居だったりして、見どころも満載。全編、むちゃくちゃ面白いのです。

ただし、基本的には勧善懲悪ものであり、結末は見ている人の期待する方向へと進みます。服部半蔵が負けるはずない、６年前に死んだ長男の岳が生きていたらいいのに、忍者と一般人の禁断の恋愛はどうなるんだろう・・・ところが、これで終わりかと思うと、最後の最後で大どんでん返し。思わずのけ反る驚きの結末が待っています。これはもう、season２は決定的。何をおいても必見のドラマです。

品川ウォーキングライター・キタロー

台本業 （テレビ・ラジオ、映像、イベントほか台本ならなんでも）
ギャグ系を中心に雑誌ライター歴もそれなりに長い
得意技は「オタク search」

イラスト：Ｔ_T

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