金曜深夜は飲み会じゃない。自室で１人、一週間のストレスをドラマでスカッと晴らし、快眠して週末を迎える。「金曜ドラマDEEP」枠では、今、『消せない「私」-復讐の連鎖-』（日テレ系、深夜24時30分）が、そんな大人の女性たちの欲求に応えて快走しています。

罠にはめられて撮影された自分の姿が、サイバー空間にばらまかれ、拡散していく。もうリアル社会で生きていけない。そんな地獄に落とされ、10年間苦しみ、自ら命を絶とうとする女性。しかし、あることに生きる意味を見出し、思いとどまる。それは、復讐。彼女は、あの時、品川区のあそこに自分が居たからこそ、それが可能になったのだと気づきます。

突然、デジタルタトゥー地獄へ

灰原硝子（志田彩良さん）は、平凡な女子高生。一方、同じクラスの海崎藍里（吉本実憂さん）は超性格が悪く、自分を美人だと思い込み、常にちやほやされたいタイプ。モデルにスカウトされたとうそぶき、芸能人気取りで振る舞う。

ある日、硝子はカリスマ美容系発信者・徳道仁（本郷奏多さん）と知り合います。バイトでモデルを引き受けると、彼のメイクで別人のように美しくなって一躍有名に。ファッション誌デビューも果たします。面白くないのは藍里。顔で祝福、腹の底では煮えくり返り。彼女は、取り巻きの同級生、大桃武（芳村宗治郎さん）と青嶋みちる（小日向ゆかさん）に声をかけ、硝子を誘い出します。

誰もいない資料室。鍵を掛けられ、武と２人きりにされた硝子は性暴力を受け、その様子をみちるに撮影されて、ネット公開されてしまう。「現役モデル、裏の顔は援交JK!」と大炎上、人気ファッション誌も発売中止に。消えることのないデジタルタトゥーを背負わされることになったのでした。

鏡を見ると、自分の顔にタトゥーが浮き出る幻視。学校にも行けず、家に閉じこもる彼女。そこに徳道仁から、家の近くまで来ているので会いたいとの連絡が。変装して会いに行ったのが、東品川公園でした。入ったところには灯台、バックには歩道橋。炎上のきっかけを作ったのは自分だと責任を感じる仁に対し、顔のタトゥーをあなたのメイクで消してくれと叫ぶ硝子。あの動画も、ネットの記事も消して！私の人生、返してよ!!とも。

家に戻ると、さらに絶望的な状況に。両親が心中を図り、家が燃えている。自分が両親を殺したのだと落ち込む彼女。しかし、家ではなく東品川公園に居たからこそ自分は生き残り、復讐が果たせるのだとも思えるのでした。

新年恒例の聖地に？

第１話の終盤に出てきた東品川公園は、一般的な遊具のほか、SL（蒸気機関車）や灯台があったりするユニークな公園。今回出てきた灯台は、明治３年に品川沖の第二台場に造られた「旧品川燈台」で、ここにあるのは６分の５サイズのレプリカ。本物は愛知県の明治村に移築され、現存する日本最古の洋式灯台として国の重要文化財にも指定されています。

東品川公園は、昨年も、『ノンレムの窓』第３弾（日テレ系、１月SPドラマ）や、『ゼイチョー～「払えない」にはワケがある〜』（日テレ系、秋ドラマ）でも、今回同様、入口前にある歩道橋とセットで登場。品川区のロケ名所であるとともに、新年恒例の聖地にもなりそうな勢いです。

＊ノンレムの窓・ロケ地紹介コラム（2023.3.24）

もう一つの公園では毒親を利用

復讐劇は第２話からスタート。事件の10年後、最初のターゲットは主犯の海崎藍里でした。婚活パーティでもルール無視で嫌われている彼女。硝子は地味女に変身し、本人だと気づかれないようにして藍里に近づき、彼女を持ち上げて親しくなります。そして、長者番付にも載っている青年実業家との仲を取り持ち、結婚にまでたどり着かせます。藍里の結婚目的は金と地位のみ。他の男とは遊び放題。硝子はそんな藍里からすっかり信用され、結婚式で上映するムービーの制作も任されます。

ところで、10年前の事件直後、３人の同級生と藍里の母親が、硝子のもとへお詫びに訪れる場面がありました。もちろん、悪いと思う気持ちは微塵もなし。外界と接することが恐かった硝子は、彼らが押しかけてきたことに、ただおろおろ。許しの言葉が出ないと逆ギレされ、「誠意、見せてよ」「娘と私たちの未来は、あんたにかかっている」と、藍里の母親に毒づかれます。

さすがの藍里も、この母親だけは毒親だと嫌い、結婚相手には既に死んでいると嘘を。硝子は一計を案じ、この母親にも近づいて結婚式にサプライズ出席するよう説得します。その場所が東品川海上公園。アイル橋の見えるこの水辺で、話をしたのでした。

硝子はさらに、ムービーに他の男と遊ぶ藍里の姿を入れて上映。ネット配信もして取り返しの付かない状態に。狙い通りに結婚式はぶち壊れ、式場から逃げ出した藍里は、階段から落ちて重傷を負います。見事、１人目の復讐は完遂したのでした。

ドラマは第４話に入り、今度は大桃武の人生破壊を狙います。みなさんも、金曜深夜、お休み前に「スカットタイム」はいかがでしょうか。
TVer配信（１月31日現在、全話無料）
hulu配信（有料）

品川ウォーキングライター・キタロー

台本業 （テレビ・ラジオ、映像、イベントほか台本ならなんでも）
ギャグ系を中心に雑誌ライター歴もそれなりに長い
得意技は「オタク search」

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