八重森ありす(門脇麦さん)は自閉スペクトラム症(ASD)のため、頑固でこだわりが強く、コミュニケーションが苦手。でも、体にも心にも「やさしいごはん」を作る天才料理人。その父親である心護(大森南朋さん)は、有機化学が専門の大学教授。未婚でゲイを公言しています。
「厨房のありす」(日テレ系、日曜日22時30分)は、多様性の尊重が叫ばれるイマドキにふさわしい要素が、ごく当たり前に盛り込まれているドラマ。ありすを取り巻く人々が心優しく、見ていて安心なのもいい。ただし、「新時代のハートフル・ミステリー」と銘打っているように、謎もいっぱいです。未婚でゲイの心護に娘がいるのは、なぜ?ありすの母親って、誰?
その謎がやっと見えてきました。キーとなる出来事が、第5話で明かされたのです。それは、しながわ水族館のペンギンランドでのことでした。
本当のお母さんは?お父さんの恋人って?
ありすは、幼い頃から心護(しんご)と2人暮らし。そこにしばしば訪ねてきたのは、五條蒔子(木村多江さん)でした。ありすは蒔子のことを母親だと思い込み、お母さんと呼ぶ。一方で、どうして私を捨てたんだろう、との疑問も。心護からは、母親は死んだと聞かされていたのですが、それは信じていません。
真相が判明したのは第4話。ありすは蒔子から、母親は自分ではなく妹の未知子(国仲涼子さん)で、彼女は既に亡くなっていることを告げられます。さらに心護からは、未知子も、蒔子や心護と同じ五條製薬の研究者をしていて、ありすが3歳の時、研究所の火事で死亡したことを聞かされます。母親に捨てられたのではなかったのでした。
第5話では、父の恋バナもあらわに。ありすに好きな人がいたかと聞かれ、恋人だった晃生(竹財輝之助さん)のことを語り始めました。若い2人がデートをしていたのは、しながわ水族館のペンギンランド。子供好きの晃生は、心護に思いを吐露します。
「ペンギンにもゲイのカップルがいるんだって。飼育員がオスのペンギン2匹に卵をあげたらね、仲良く温めてヒナにかえして育てたんだってさ。その話を聞いて勇気が出たよ。僕らもいつか、そうなれるんじゃないかって」
2人は手をつなぎ、見つめ合います。
「そうなれるといいな」と心護。でも、晃生は周囲にカミングアウトできず、親の勧める女性と結婚。夢はかないませんでした。晃生は既に鬼籍に。しかし、このことがあったからこそ、心護はありすの親になることを決意。「ありすとこうしていられるのも晃生のお陰だって、今でも思う」と感謝するのでした。
晃生。十嶋晃生は、どうやら住み込みアルバイトの酒江倖生(永瀬廉さん)の父親のようで・・・
実話だった、ペンギンカップルの話
晃生が話していたこと、調べてみるとニューヨーク・セントラルパーク動物園での実話でした。ヒゲペンギンのロイとシロはオス同士でカップルとなり、巣を作って一緒に眠るように。オスとメスのカップルがしているのを真似して、卵のような形の石を運び込んで温め始めますが何も起きません。そこで飼育員が、他のカップルが産みっぱなしにしていた卵を彼らの巣に入れると、2羽は交代で温めてヒナにかえしたのでした。もちろん子育てもちゃんとして、3羽は仲良く暮らし、大変な人気者に。
このことは絵本にもなっていて、日本でも「タンタンタンゴはパパふたり」というタイトルで出版されています。読んでみましたが、ちょっとウルウル、最後はグッとくるお話でした。
今回のロケ地、しながわ水族館のペンギンランドには、南米の沿岸に生息するマゼランペンギンが16羽います。ちょうどこれから恋の季節がスタートし、普段から仲よしのカップルが一層ラブラブに。代表的な行動は、お互いに羽づくろいをしあうこと。取材時も1組のペンギンカップルが、まるでチューをし、愛をささやき合っているかのような姿を見せていました。
産卵し、2羽が仲良く交代で卵を温めると、40~43日でヒナが誕生。それが4~5月のこと。孵化して1月ぐらいすると、運がよければ母ペンギンの下からヒナが顔を出すこともあるそうです。ファンがカメラを構えてその瞬間を待っているのも、ペンギンランドの風物詩とか。2ヶ月ほどすると、成長したヒナが巣穴から出てくるそうです。
毎年、各カップルが2卵ずつ産むそうですが、無事に孵化して成長するのは少数。それでも、ここ数年は毎年1羽ずつヒナになって成長しているそうで、昨年5月に生まれたスイも元気に育っています。なお、しながわ水族館では、オス同士のペンギンカップルはまだ誕生したことがないとのことでした。
さて、ドラマは6話まで終了。倖生に恋をするありすは、周囲のアドバイスを参考に積極的にアプローチ。倖生の方も、自分も好きだと言うが、周囲には彼女の気持ちには応えられそうもないとも漏らす。果たして、2人に春は来るのでしょうか。しな水のペンギンたちのように。
取材先:しながわ水族館
品川ウォーキングライター・キタロー
台本業 (テレビ・ラジオ、映像、イベントほか台本ならなんでも)
ギャグ系を中心に雑誌ライター歴もそれなりに長い
得意技は「オタク search」
イラスト:T_T
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