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2023:05:31:10:09:40

あなたがしてくれなくても、わたしのお嫁くん!
ドロドロもドタバタも、始まりは天王洲アイルから。

2023.05.31

COLUMN

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視聴率から〝TVer率〟へ。家族と一緒だと涙が流せないから、自室にこもりTVerでドラマ。昨年秋の「silent」はその典型でしたが、今年の春ドラでは「あなたがしてくれなくても」(フジテレビ系、木曜22時)が、どうやらお一人様ドラマ化かも…。2組のレス夫婦のお話で、それぞれパートナーが「してくれない」ため寂しい男女が、悩みを打ち明けあううちに惹かれ始める。悩ましくもはかない恋の物語かと思いきや、第5話で一転、ドロドロしたやばそうな様相に。それは品川区で始まったのでした。

愛はあるのに「してくれない」

吉野みち(奈緒さん演)は、カフェの雇われ店長をしている吉野陽一(永山瑛太さん演)と結婚5年目。仲がよく愛もあるが、人付き合いが下手な陽一はみちとの濃密な関係を避け続け、気が付けばレス歴2年。でも、職場のアルバイト女子とは、つい出来心ながら交われてしまう。雑誌で読んだ「妻だけED」の記事が頭をかすめます。

新名誠(岩田剛典さん演)は、吉野みちの上司で4歳年上。仕事ぶりも人柄も良く、社内ファンも多数。愛妻家で、ファッション誌の副編集長として活躍する妻を支え、いつも食事を用意。けれど、仕事最優先の妻は毎日遅くまで働き、帰宅すると仕事をしながらリビングで眠り込んでしまいます。夫からの求めに応じる余裕などありません。

徐々にパートナーへの不満がつのる吉野みちと新名誠。同じ悩みを抱えることを知った2人は惹かれ合い、互いに好きだと告白したのでした。

そこに23歳の若手社員・北原華(武田玲奈さん演)が絡みます。ある日、みちと華が会社近くに来ているキッチンカーでランチを購入していると、いつもなら弁当持参の新名誠がやって来ます。珍しい。ま、事情はどうあれ、3人で一緒にということになり、内心嬉しいみちでしたが…。そこになんと誠の妻・新名楓(田中みな実さん演)が。夫が忘れた弁当を届けに来たのでした。そして、みちたちを見かけると、「新名の妻です。いつも主人がお世話になっています」と丁寧に挨拶。妻の座を見せつけます。みちと楓、物語は一気にドロドロ・モードへと突入か。

そのキッチンカーが来ていたのは、品川区の天王洲アイルにあるシーフォートスクエアのセンターコートでした。

雰囲気を察した北原華は、口実を作ってみちとともにその場を離れ、隣接するシーフォートスクエアの一画へ。華はいきなり、「先輩、新名さんと付き合っていますよね。だって、ラブラブ光線出まくりだし」と鋭く指摘します。ロケ地・天王洲アイルで、このドラマは急展開を見せるのでした。

男女の入れ替わり新パターン?

もう一本注目のドラマは、「わたしのお嫁くん」(フジテレビ系、水曜22時)。大手家電メーカーの営業部員・速見穂香(波留さん演)は、同僚から「営業の神」と尊敬されるエース社員。社内での気遣いなども抜群で、理想のお嫁さん的存在でもありました。そんな彼女に恋心を抱く6歳年下の後輩・山下知博(高杉真宙さん演)は、ひょんなことから穂香の住まいや食生活が乱れ放題であることを知ります。イメージとのギャップに衝撃を受ける知博。彼は、家事ならなんでも完璧にこなす男子であるため、そのショック具合は相当でした。

知博は、穂香に部屋を片付けるコツを伝授。それをきっかけに、料理+部屋掃除のセットで穂香の部屋を訪れるようになります。帰宅してほっとする穂香。思わず「山本君がお嫁さんに来てくれたらいいのに」と口にしてしまうのでした。本気にした知博。ある朝、始業前に穂香を待ち伏せして会社から連れだし、「嫁入りシミュレーション」を提案します。まずは6日間だけ「お試しルームシェア」をして同居し、うまくいきそうなら本格的に〝嫁入り〟してルームシェアしましょう、というものでした。強引にそう提案し、心ウキウキで去って行く知博。ドタバタ同居の始まりです。そして、その提案場所が、「あなたがしてくれなくても」と同じシーフォートスクエアの一画でした。

3食の支度をはじめ家事全般を知博が引き受ける生活。穂香は昼間のうちに干されたふかふか布団のベッドで眠り、知博は床で寝袋。一方的なギブ&ギブ生活だと感じ、穂香は「私は何も返せない」と知博に居心地の悪さを伝えます。シミュレーション失敗宣言だと解釈した知博は、ハートブレイク状態で去って行くのでした。

数日後、今度は穂香が知博を待ち伏せし、シーフォートスクエアに連れ出します。「私にも返せるものがちゃんとあった」として、食費や光熱費、家賃の負担を提案。「私、大黒柱になるから」宣言をします。こうして嫁の知博と大黒柱の穂香は、新たな部屋を見つけて、新たなドタバタ同居生活をスタート。2人の距離はぐんぐん縮まってくのでした。

ドロドロとドタバタ。対照的なドラマに見えて、、、ん?
どちらも愛する女子のため、献身的に尽くす男子のお話でもあるのでした。

品川ウォーキングライター・キタロー
台本業 (テレビ・ラジオ、映像、イベントほか台本ならなんでも)
ギャグ系を中心に雑誌ライター歴もそれなりに長い
得意技は「オタク search」

イラスト:T_T

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