幅広い世代から支持される男女2人のユニット「コアラモード.」。実は品川区にゆかりがあったことから新曲のMVを全編品川区で撮影。前編に続き、後編では新曲の制作秘話やMV撮影時の思い出などについて聞きました。
「知らなかった品川」にコアラモード.も大興奮
――新曲「ビデオテープ」は、どんな思いで作られたのでしょうか?
小幡康裕さん(以下、小幡) 実は、この曲を最初に書いたのは10年くらい前なんです。人生って巻き戻せないけれど、それでもやり直したいと思う時があります。自分というテープに上書きで録画をして、今を生きているような感覚。上書きを重ねてテープがヨレていくけれど、その中には、幸せな景色が写っていて。そんな現在を肯定するようなラブソングが書きたい、と思ってこの曲を作りました。
「上書き」というとネガティブな表現に捉えられるかもしれませんが、あんにゅが歌うことでこの曲を通して伝えたいポジティブなメッセージを響かせることができているような気がします。陰りのある心情描写があったとしても、最後には、前向きな気持ちとともに聴き終えられるような表現をいつも目指していて。それこそが、コアラモード.として大事にしてきた部分でもあります。
あんにゅ 曲のデモは2013年にできていました。ただ10年前の私は、歌詞から受け取った「辛い」という気持ちを歌に乗せすぎてしまっていたかも、と改めて聞き直して感じました。10年経って曲の解釈も変わり、自分の気持ちだけではなく、誰かに優しく語りかけているように歌いたいと思いました。そんな気持ちでレコーディングし直したことで、コアラモード.の歩みがそのまま音に出せたような気がしています。
――小幡さんが書いた切ないけれど優しい歌詞とメロディ、そしてあんにゅさんさんの温かい歌声。まるでコアラモード.のお二人が寄り添ってくれるような曲に、思わず聞き入ってしまいました。
あんにゅ ありがとうございます。まさに「見守る」「寄り添う」という感覚で歌いました。結婚式の定番ソングになってくれたらうれしいですね。
――MVは全編品川区で撮影されたとのこと。Twitterを見た品川区の担当者から「ご縁を感じたので、品川区で撮影しませんか?」という打診があったそうですね。
小幡 僕たちの曲も普段から聴いていてくれて、さらにTwitterを見てくれていたなんて! と驚きましたが、素直に嬉しい提案でした。ロケ地にはしながわ水族館のように普段から親しみのあるスポットもあれば、「品川モニュメント」のように初めて知った場所も。MVの撮影を通じて、知らなかった品川の一面を垣間見た気持ちです。
あんにゅ モニュメントがあるのは大井水神公園だよね? あの公園には感動しました! 線路沿いに細長く広がっていて、遊びながら電車も眺められるし。子どももいれば、のんびり座っているおじいちゃんおばあちゃんもいて、とても雰囲気のいい場所でしたね。
小幡 品川区=都会イメージを持っている人も多いと思いますが、ビル街のすぐ近くに緑があって水辺があって、親しみやすい暮らしやすい場所ですよね。子育て環境にも良さそう。
あんにゅ 人と人との距離感が近いのがいいですよね。滑り台で子どもたちが得意げに滑って見せてくれるんです。撮影中だけど、あまりにも嬉しそうだから、思わず拍手してしまいました(笑)。
小幡 あと、しながわ区民公園。あの公園、あんにゅも大興奮だったよね?
あんにゅ 甥っ子、姪っ子を連れて行っても喜ばれそう。
小幡 MVはもちろん、メイキングも品川区の街ブラ番組として楽しんでいただけると思います!
――ところで、この「しなロケ」は品川区で撮影された映像作品を紹介するサイトなのですが、お二人が最近ハマっている作品があれば教えてください。
小幡 「ブラッシュアップライフ」! しなロケのコラムも、検索して読んだところなんです。自分の人生をやり直せるなんて、ありそうでない話ですよね。偶然ですが、「ビデオテープ」の世界観につながるところもあると思います。とにかく面白い展開で、毎週楽しみにしています。
あんにゅ 私は「大豆田とわ子と三人の元夫」ですね。少し気持ちが落ち込んでいる時に、前向きな気持ちになれたらと思って配信で見直しました。ドラマって自分には起こりえないことが体験できるのが魅力ですよね。この作品のおかげで、心に光が差す感覚がありました。
このドラマをきっかけに、「カルテット」などの坂元裕二さんの過去作品もチェックするようになりました。坂元さんのセリフにも、演劇的な展開にもとても惹かれます。見終わった後はスッキリするけれど、終わってしまうのが寂しい気持ちもある。コアラモード.の曲も、そんな風に思ってもらえたらいいですね。
・2023.3.2のコラム「5周目突入で、どうなる、『ブラッシュアップライフ』」
・2023.3.2のコラム「大豆田とわ子‟紐抜けシーン"のロケ地は品川区だった!伏線回収のための重要場面!」
――ドラマや映画に励まされる人がいるように、「ビデオテープ」に励まされる人も多いと思います。インタビューを通して、お二人の絆の強さを実感しましたが、そのまま曲にも表れていますね。
小幡 ユニットを続けていると、いくつも選択のタイミングがあるけれど、最後はあんにゅの直感に任せるようにしています。あんにゅがフロントマンということでもあるけれど、彼女はとにかく自分に正直。そこにコアラモード.が導かれてきたところもあるので。
あんにゅ 私がへこたれそうな時も、小幡さんは「今できることをやっていこう」と前を向いています。小幡さんは曲も楽器も全部自分一人で完結できるクリエイター。これからもお互いの良さを尊重して、いい曲を作っていきたいです。