埼玉県行田市の空撮映像。手前に広がる市街地、忍城も見えている。奥には田んぼが・・・画面が切り替わって、今度はその街のどこかの道路を走る人のドローン映像。ん？ほのかな既視感。行田市といえば足袋。足袋といえば「こはぜ屋」。そして、走る人。もしかして、「陸王」リターンズか？

画面が再び切り替わって、今度は地上での撮影。走る人の後ろから追いかけ、さらに前からの映像に。おおーっ、ここで確信。行田市と言いつつ、われらが品川区、旧東海道でのロケではないか！

実家はあの有名な畳店

走っていたのは、先日まで「ちむどんどん」で朝の顔だった黒島結菜さん演じる吉川氷柱（つらら）。走ってきた彼女が立ち止まって見上げたのは、実家である「吉川畳」。10月21日から始まった金曜ドラマ「クロサギ」（TBS系）の第1話で、いきなりロケ地となった旧東海道ですが、「吉川畳」となっていたのも、実際に旧東海道にある老舗畳店「畳 松岡」なのです。

1990年代から街づくりが始まった旧東海道は、江戸時代の東海道と同じ道幅で整えられていますが、「畳 松岡」の創業も江戸中期の安永8（1779）年。なんと250年近くも畳を作っている畳屋さんなのです。テレビ東京の「出没！アド街ック天国」など情報番組でもおなじみ。しなロケでも、2019年9月9日のコラムで「新日本風土記」に出てきた様子を紹介しています。

看板を見ると、文字はすべて右から左へと書かれ、「岡松疊」との大きな文字。「たたみ」の漢字も旧字体です。下の小さな文字も右から「式一事工疊」とあり、さらにこの画像では消していますが電話番号が漢数字で右から左へ。一方、ドラマロケのため付け替えられた看板は、「畳 松岡」より古びてはいたものの、文字は「吉川疊」と左から右へ、その下の「畳工事一式」と電話番号も左から右へと書かれていました。

･･･ちょっと、オタクsearchでした。

クロサギがうずくまった場所は？

ところで、「クロサギ」の主演は黒島結菜さんではなく平野紫耀さん。詐欺師をだます詐欺師である「クロサギ」の黒崎高志郎を演じています。彼は子供のころに父親が詐欺師からだまされ、一家心中で家族を失います。自身も父親に刺されたのですが、なんとか命をとりとめました。一般の人をだます詐欺師を「シロサギ」と呼びますが、復讐心に燃える彼は、この世のシロサギをすべて食い尽くそうと心に決めたのでした。

第1話は、吉川氷柱の父親（船越英一郎さん演）がシロサギにだまされて、退職金や貯金を巻き上げられ、おまけに畳の商売は継がなかったものの親から受け継いだ家までも売らなければいけなくなったお話。そこにクロサギの黒崎がやってきて、協力してくれれば取り返してやると提案します。法学部に通い、検事を目指している氷柱は大反対。しかし、黒崎と父親は見事に取り返すことに成功するのです。なんとも痛快な結末！と思いきや、帰り道、氷柱は黒崎に猛抗議。

旧東海道の最初の宿場町である品川宿。エリアは京急の北品川駅付近から青物横丁駅付近までの2キロほどとされています。今回のロケ場所は、その内の南エリア。街路灯の柱部分に表示されている商店街の名も、「品川宿場通り南会」から「青物横丁商店街」へと切り替わる場所です。

氷柱が猛抗議した場所、また、その前に、黒崎が詐欺業界のフィクサーで甘味処の店主でもある桂木敏夫（三浦友和さん演）と電話で話したり、かつて父親に刺された時のことを思い出した彼が、お腹を抱え、叫び声を上げてうずくまったりした路上も、そこでした。決め手は旧東海道に並ぶ街路灯。ドラマでもこれが写っていました。ただし、「青物横丁商店街」の文字は、上からデザインものがかぶせてあって、地名は隠されていましたが。当然ですよね、行田に青物横丁商店街があったら変だし。・・・またちょっと、オタクsearchでした。

期待のドラマ「クロサギ」は、2006年にも同じ金曜ドラマで山下智久さんが主演して放送されています。今回は原作の漫画が完結したことによる、「クロサギ」完全版として新たにドラマ化されました。最初から品川区ロケ～しなロケがあるなんて、ますます目が離せません。平野紫耀さんは、もしかすると来年5月脱退を発表したKing & Princeとして最後のドラマになるかも。こうなったら、しなロケはこのドラマを全面的に応援しちゃいます！

品川ウォーキングライター・キタロー
台本業 （テレビ・ラジオ、映像、ショーなど台本ならなんでも）
ギャグ系を中心に雑誌ライター歴もそれなりに
得意技は「オタク search」

イラスト：Ｔ_T

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