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2018:07:10:17:29:15

[パートIII ] 品川歴史館が推定!これがシン・ゴジラの足跡だ!「矛盾点や細かいこだわりを見抜く」

2018.07.10

COLUMN

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2回にわたり、品川歴史館の野田さんが推定するシン・ゴジラの品川区内進行ルートをご紹介してきました。
そこでは、衝撃の事実や細部に秘められたこだわりのカットなどが次々と明らかになりましたが、実は、納得できない矛盾点もいくつかあるのです。最終回のパートIII では、野田さんが発見したそうした点について見ていきます。

*以下、冒頭の東宝マークからの時間を書いていますので、DVDなどお持ちの方は目安としてご活用ください。写真はほとんど、野田さんが実際に歩いて撮影したものです。

矛盾シーンを見抜く

矛盾点その1は、品川神社にありました。第三形態へと進化を遂げ、船宿の「船清」近くを進むゴジラ。逃げまどう人々が、「東京都品川区 品川神社」とテロップの入った階段を上るシーンがありました(地図 ⑪、24分45秒頃)。70年代のスポ根ドラマなら思わずウサギ跳びでもしたくなるような長い階段ですが、映画では階段中央部に手すりがあったものの、この実際の写真を見ると両脇にあります。

実は映画のロケ地、品川神社ではなく新宿区にある市谷亀岡八幡宮だそうです。品川神社の階段と似ていますが、こちらは映画と同じで階段中央部に手すりがあります。品川神社の方がウサギ跳びはしやすそうですが、映像をお持ちの方はバックの景色も含めてちょっと確認してみてください。

ゴジラの移動地点を表す映画上のシーンのうち、パートII で紹介しなかったところがいくつかあります。これも、矛盾を抱えているためです。
ひとつめは、品川歴史館前の次にゴジラが現れるシーン。左の画像はその街での実写。映画ではこの中央部分にCG合成のマンションがあり、ゴジラはそれにもたれかかるように乗り上げて破壊していきます(18分25秒頃)。中では親子3人が逃げようとして必死で身支度をしていましたが、残念なことに間に合いませんでした。
手前のサウナのレトロな看板が印象的なこの地点、実は旗の台1丁目の昭和大病院前交差点近くにあり、推定ルートから大きく西に外れています。ちょっとあり得ませんね。

ふたつめは、その次のゴジラ登場シーンです。今度は、品川のシンボルの一つでもある船だまりを画面左から右へ、つまり海側へと移動していきますが、場所は船だまりがL字型に曲がったところに架かる北品川橋の上です(地図 ⑫、23分10秒頃)。まだ第二形態なのですが、第三形態へと進化した場所(地図 ③)よりも先にあり、大きな矛盾を抱えています。ここは説明的な意味合いのない、単なる移動シーンの切り貼りと考えるべきかも知れません。

こんな場所も発見

ここで、ゴジラが出てこない場所についても少し見てみましょう。品川区内全域に避難指示が発令され、小学生が誘導されて避難するシーンがありますが(17分50秒頃)、あれは台場小学校横(西側)の路地であることが判明(地図 ⑬)。さすが野田さん、ちゃんと見つけ出しています。
このシーン、画面では左半分に駐車中の車のタイヤをアップで入れ込んでいる上、中央の電柱に、実際にはない「ATAC」と縦書きされた広告が取り付けられています。シン・ゴジラの公式記録集「ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ(発行:株式会社カラー)」によると、「ATAC」は「アニメ特撮アーカイブ機構」のことだそうです。細部へのこだわりも見えて、この映画のすごさを改めて感じます。

自衛隊の対戦車ヘリコプター隊がゴジラ攻撃中止を決めたのは、現場にまだ避難中の人がいることが分かったためでした。高齢の男性がおばあちゃんを背負って踏切を渡るシーンがありましたが、あの踏切も割り出しています。北品川駅のすぐ南側にある踏切です(地図 ⑭、26分40秒頃)。

それにしても、野田さん、すご過ぎます。どこだろうが見つけ出し、細部の違いも見逃さない。カミってます。
ご本人にその秘訣を伺うと、一言、「フィールドワークです」。
スマホに残っていた歩数データを見せていただいたところ、この日だけで、なんと1万5000歩となっていました。
そして、映画のカットと極めて近い画角で撮影された22ヵ所の、まさに足で集めた画像を惜しげもなく提供してくださいました。

「ゴジラは会議室にいるんじゃない。現場で動いてるんだ!」
と、ほとんど踊る大捜査線状態で体を張った取材を貫徹してくださった品川歴史館の野田さん、本当にありがとうございました。

みなさんも、スマホやタブレットでこの記事を片手に、ぜひ聖地巡礼を楽しんでみてください。

(品川ウォーキングライター・キタロー)

品川区立品川歴史館

開館時間:午前9時~午後5時(入館は4時30分まで)
休館日:月曜日・祝日(日曜日の場合は開館、月曜日が祝日の場合は翌日も休館)年末年始、その他臨時休館日
観覧料:一般100円/小中学生 50円/品川区立・区内在住の小中学生、70歳以上、障害のある方は無料/20名以上の団体は2割引

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